2018.04.30

33日目。朝から天気が良いのは分かっていたが気温は低め。朝散歩の願望を叶えることなく午前中から勉強を始める。が、集中力は細切れ。好きなモデルの女の子が大学の同級生と結婚していたことをインスタで知り(実際は推測だけどほぼ確実と思われる)、思わずハナにLINE。話題は二転三転して、ハナのフェミニズム論に膝を打つ。しかし最近は平和ボケというか、あまりにも狭い暮らしのなかにいるので活発に思考が働かないことを実感。異国の、しかも田舎の暮らしをしている今の自分と日本の社会問題の共通点のなさが思考の機会を薄めていく。そういった不安も含めてわたしは東京に住んでいたいし、確実に帰りたい気持ちを認識している。ブスが美人を守る論。

ハナとのLINEに夢中になってしまって、ぼよんぼよんの素ラーメンと素餃子を食べてしまった。同時に複数のことを本当に出来ない。15時過ぎから散歩へ。お気に入りのバーロウファームパークを経由してコロニーパークへ初めて行ってみる。どちらも公園というよりは遊具のある芝生広場というかんじで、歩くだけで気持ちが晴れる良好スポット。山下達郎を聴きつつ、車や犬がこわいので周りを気にしつつひたすら歩いた。目的地が決まっていない徒歩がほんとうに好きだ。永遠に歩ける気ばかりする。コロニーパークの入口からさびれた橋のようなものが見えたのでそっちへ行ってみると、線路の上に架かる橋だった。車は通れないようになっている。人ひとりいなくて、ここで誰かにさらわれたり殺されたりしても完全になかったことになりそうだななんてことばかり考えていたら、向こうから女の子が歩いてきた。こちらに来て初めてすれ違いざまの挨拶をされなかった。それほど相手を警戒すべき場所なのか、ただ単にうろうろしてるアジア人が怪しかったのか。そんなことを考えていたらまた反対側から犬を連れたマダムが来て、ささやかなハーイを頂戴した。公園を通り抜けて家までの道を遠回りで歩く。原っぱのなかに水飲み場を発見し、写真を撮りまくる。近頃はデジタルで撮りまくれるのが普通になってるけど、となるとシャッターの価値って?ということを時々考える。とにかくより良い瞬間をとらえたいという気持ちには連写機能は最高だけれど、一瞬を愛でる気持ちは人生を愛することに繋がっているように思う。一回きりのシャッターを、とらえようとするその対象にぎゅーっと集中してパッと切り取る。デジカメなら無造作に連写してそこからセレクトすりゃいいだけのことだが、現実世界はそうもいかない。ひとつのものしか選べないときの選択能力を、選んだあとにそれを愛する努力をする能力を、連写機能によって低下させてしまっているような気がしている。きっと人生はそんなに華やかでも特別でもなくて、ただただ時間を過ごすだけ(なるべく豊かに)なのかもしれない、と広ーーい庭に黙々と芝刈り機をかけているおばあさんを見て思う。

公園の水飲み場で顔を洗っていたら 空が青く見えたんだ という直太朗の大好きな歌を思い出したのでiPodで聴いてみる。アメリカで直太朗を聴く日がくるだなんて思いもよらなかった。案の定うぉーーーーーーってなりながらも、いまの状況とは案外マッチしない内容だったことを思い出してスッとなる。おなじみのCVSに寄って80ドルの散財。なぜかカードが使えなくて現金で支払い、おつりをポケットに突っ込んだ。興味本位で買った炭酸ジュースは洗剤の味がした。向かいの車がこちらにゆっくり寄って来て、車内のおばちゃんが何か言っている。こんなところで道を聞かれるはずもないだろうし、なんだろうと近づいてみるとdropとmoneyという単語とともに後方を指さしていて、振り返ると紙幣がひらひらと風に揺れていた。オー!と思わず声が出て、急いで拾った手で紙幣を握りしめてサンキューソーマッチを伝えるとおばちゃんはニカッと笑って発車した。これがほんとのサンキューソーマッチ。